我が家は東京都に属していますが、大自然に囲まれた場所!!
畑の作物は猪(イノシシ)に荒らされ、竹やぶの根はことごとく掘り起こされています。
我が家の畑に設置されたイノシシ用の罠には、昨年から7匹のイノシシが捕獲されているような状況。
住宅地が広がることで、野生動物達の住処が限られて来ている(※特に我が家近隣のエリアでは)という”人間都合”の原因が大きいかもしれませんが、イノシシによる農作物の被害は大きい・・・
獣害対策として市町村で設置されてる罠に掛かったイノシシ達は、連絡を受けた猟友会の人達により銃殺され、捌いて食べる人がいなければ、多くの場合廃棄されるだけ・・・・
我が家で捕獲されたイノシシは、近所のオジサン達で捌いて食肉として取り分けていたけれど、何匹も掛かると冷凍庫もいっぱい・・・誰も欲しがらなくなっています。
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目次
イノシシ肉を自作で生ハムに!!
猟友会の方に処分されたイノシシは、50〜60kgのオスのイノシシ!!
近所のオジサン達も冷凍庫が満タンだと言うことで、廃棄されそうになった所を、僕がイノシシを貰い受けることに・・・
元料理人の友人を始め、友人を誘いイノシシの解体を行いました。
猟友会の人は、イノシシを締めた後にしっかりと血抜きまで行ってくれていたので、肉自体の状態は良いと思います。
今回、僕が生ハムを作る動機としては、
『イノシシ肉を長期保存したい!!』
と思ったから・・・
しかし、生ハム作りをするためには、必須な条件も・・・・
必須条件外気温が低い冬でしか作れない!!(※夏が高温多湿な日本では・・・)
特別な設備を持たない個人が、大きなイノシシ肉で生ハムを作ろうと思うと上記条件は必須になってきます。
もちろん我が家には、大きな肉塊を貯蔵するための冷凍庫などの設備は我が家にはありません。
【要注意】イノシシの生肉は絶対ダメ!!
日本では、豚肉でも生食する人は”ほぼいない”と思います。
E型肝炎や腸管出血性大腸菌症の食中毒、寄生虫など・・・生食のリスクは半端ない!!
と言うか豚肉・特に衛生管理されてない野生のイノシシの生食は絶対ダメ!!
猟師の人達の中には刺し身で食べるという鹿肉!!
鹿肉でさえE型肝炎のリスクも含め、食中毒のリスクもあります。
生ハムは生だけど、生じゃない?!
豚肉を長期保存してある食べ物といえば『生ハム』!!
生ハムを作るには
- 塩漬け
- 燻製(※燻製しない生ハムもあります)
- 乾燥(熟成)
の作業を行うことで、細菌(バクテリア)などを殺菌し、塩分濃度が高い乾燥状態で保存することでウイルスの活性を抑えることができます。
塩漬けの効果とは?
人類の古来からの叡智とも言える塩漬け!!
冷蔵庫がもたらされる以前には、食品の長期保存の代表選手は『塩漬け』でした。
微生物が利用できるのは,食品に含まれる水分の全てではありません。食品中の水は,その存在状態により,大きく「自由水」と「結合水」に分けられます。
〜中略〜
「結合水」は0°Cでも凍結せず,高温でも気化し難く,微生物に利用されることもありません。したがって,同じ水分含量の食品であっても「自由水」が多いか,「結合水」が多いかによって微生物が増殖し易いかどうかが左右されることになります。
〜中略〜
食品に食塩や砂糖を少し加えると腐敗し難くなるのは,食塩や砂糖が「自由水」と結びつくために,「自由水」の割合が小さくなるからです。
塩漬けにすることで食品の水分が抜ける、浸透圧で寄生虫、細菌の細胞膜を壊すだけでなく、『自由水』の保有量が減ることで微生物の活性を抑えることができるらしい!!
燻製の効果とは?
燻製も古来より人類が食品を保存するために行ってきた技術のひとつ!!
燻製に使われる煙のことを燻煙といい、燻煙には食品に殺菌成分や防腐成分を浸み込ませる働きがあります。中でも代表的な燻煙に含まれる殺菌、防腐成分として、カルボニル化合物、フェノール系化合物、有機酸があります。
まず、カルボニル化合物は非常に高い殺菌成分と防腐効果があり、これによって食材の水分が抜かれ、食材が乾燥状態にされます。そして、食材保存が可能になります。〜中略〜
次に、フェノール系化合物は燻製に使われる木材に含まれる主成分のセルロース、ヘミセルロース、リグニンが熱分解で出来たものです。主な働きとして、燻製中の食品に反応して作られた強い樹脂膜が食品を包み、外部からの細菌の侵入を防ぎます。また、長時間の燻製により、食品に含まれる水分を抜き、保存性を高める働きがあります。
最後に、有機酸は「カルボン酸」ともよばれ、抗菌作用があります。このように、それぞれの働きが食品の保存性を高め合うことが出来ているため、燻製が成り立っています。
燻煙に含まれる成分には殺菌・防腐効果があり、低温で燻製する冷燻(30℃以下の燻製)を何日も行うことで、食品の水分量を減らすことで、食品を腐らせる(腐敗)ことなく、長期間保存することができるんです!!
乾燥(熟成)の効果とは?!
食品を乾燥させることで、細菌、微生物の繁殖を防げることは上記しました。
また生ハムを長期保存する際には、麹カビなどが肉を覆うことにより、タンパク質がアミノ酸に分解され、旨味が増すらしい・・・
生ハムは、『生』だけど・・・ただの『ナマ』じゃないんです。
生ハムの歴史は古く紀元前100年には作られていたとのこと!!
先人達が食べ続けて大丈夫だから、だいたい大丈夫!!
とは言え塩漬けして、燻製して、長期保存したからと言って、絶対大丈夫!!とは言えないので、あくまで自己責任で!!(※責任とれないからね!!)
イノシシ肉の生ハム手順
- イノシシ肉の塩洗い
- 塩漬け(17日間)
- 塩抜き(10時間+2時間+1時間)
- 乾燥(野外での風乾2日)
- 冷燻(10日間)
- 熟成(1年間)
あと、重要になってくるのは、作業する期間!!
イノシシが捕れたのが1月中旬、
作業しているのは1月〜2月の外気温が低く、空気の乾燥した時期!!
外気温が低い時期だからこそ、簡易な設備で、冷燻(※30℃以下の燻製)が行えし、食品の乾燥も早い
イノシシ肉を塩で洗う
イノシシを捌く環境に関しても、衛生的に肉を扱うように心がけましたが、野外での作業というのもあり、一般的には衛生的とは言えない状況が多かったと思います。
元料理人の友達曰く
『もっとちゃんと衛生面に気を付けないと・・・』
と言うような作業状態!!
大量の肉片約20kgをお風呂場で塩洗いします。
大量の塩を使って、肉を揉み洗い
塩揉み洗い大量の塩!!5.0kg入の塩を使用
前足、後ろ足は中の血を絞り出すイメージでしごくように塩で揉み洗いしました。
塩で洗った肉を水で流し、全部の肉を3回づつ洗って終了(※もっと洗いたかったけど、塩ももったいないし、量が多くて大変・・・)
血や泥など、汚れはかなり綺麗になりました。逆に野外での作業がいかに汚いかも実感。
イノシシ肉をしっかり塩漬け
肉を綺麗に塩洗いしたあとは、肉を塩漬けしていきます。
塩漬けにはソミュール液に漬け込むやり方と、直接塩をすり込むやり方がありますが、今回は直接塩をすり込んで仕込みます。(量が多くて、ソミュール液を作るには大変・・・)
イノシシの足が入る位の衣装ケースをホームセンターで購入し、
大きめなゴミ袋を準備!!
ネットで調べると、余計な菌などの付着を防ぐために、作業する際にはこまめにアルコール消毒をして、ビニール手袋を使って作業されているようですが、僕はやってません。
本当は↑こんなん使うべきだと思うけど、紀元前の人たちがアルコール消毒していたとは思えないし、
僕が小さい頃、切り傷や、火傷、汗疹(あせも)が出来たときにも
『海に入れば、そんなん治る!!』
とおばあちゃんに言われてたので、【塩がすべてを浄化してくれる】と信じて作業しました。
※上記しましたが、塩漬けには、浸透圧で、寄生虫などの細胞膜を壊して殺したり、食品の水分量を減らしたり、水分子と結合して『自由水』の保有量を減らしてくれます!!
塩漬け材料
- イノシシ肉:約20kg
- 塩:約2kg(肉の10%)
- 砂糖;約1kg(塩の半分)
- ローレル:適量
- グローブ:適量
- ブラックペッパー:適量
- オールスパイス:適量
レシピ、作り方の参考にしたのは、『CLUB SMOKE(クラブスモーク)』のサイト
ヘラ絞りの燻製器まで作られている燻製職人さんは、豚のモモ肉で生ハムの原木を作られています。
上記の塩、砂糖、スパイスを大きなボールに入れて混ぜます。
写真には写ってないけど、ブラックペッパーとオールスパイスはキッチンにあったので途中で投入!!
肉片ひとつひとつに、しっかりと塩を塗り込みます。
捌き方が下手だったので、肉に無駄な切れ目が出来てるので、そういう所もしっかりと塩を刷り込みました。
■塩漬け期間は、17日間
塩漬け始めてから作業を行う時間が取れず、塩抜きをはじめてから17日間も放置することに(※野生肉の加工なので、怖くて長期塩漬けしたい気持ちも・・・)
途中、肉から出た水分を廃棄を2回程しました。
保存は衣装ケースに入れて、野外の陽の当たらない場所へ
塩抜きがポイント!!味見しながら塩分を調整
塩漬け途中で、イノシシ肉を食べてみたいと言う友人・知人が現れたので、足以外の肉片の多くは貰われて行きました。
とは言え前足、後ろ足の4本と、肉片数個が残っています。(だいたい15kg位)
ひとつひとつを丁寧に水洗いして、衣装ケースに入れます。
衣装ケースに肉がしっかり浸かる量の水を張って、風呂場に放置
■1度目の塩抜き:10時間
肉片の一部を切り取って、フライパンでしっかり焼いてから味見。
まだ塩がかなり強い感じ!!すでに夜中だった為、水を捨てて塩抜きを中断。
次の日に同じように衣装ケースに水を張って塩抜き
■2度目の塩抜き:2時間
味見をすると良い感じに塩が抜けて美味しい!!が、若干塩が強く感じたため、再度水を張り塩抜き
■3度目の塩抜き:1時間
絶妙な塩加減に仕上がった感じ!!
合計:13時間の塩抜きをしましたが、途中で水を入れ替えているので、参考程度に・・・
塩抜きの目安
- 長期熟成の生ハムは完成で、塩分濃度5〜8%
- 完成時には水分量が減って重量が約60%くらいまで減る
- 塩抜き時の塩分濃度は3〜4%が目安
ベーコンなどを何度も作っているけど、塩抜きの際に少しづつ焼いて味見して塩加減を調整するのがポイント!!
味見がポイントと言っても経験がモノをいう感覚的なこと・・・そんな人は
こんな高級アイテムがありますが、やはり経験値を積むのが一番かも・・・(※メタルキングの剣を持つより、Lv99の勇者を目指した方が・・・)
外気で乾燥!!
塩抜きが終わったイノシシ肉は冬の寒空の中で風乾!!
滅多に使うことのない自作のピザ窯スペースが役に立ちました。
■風乾:2日(※実質1日)
初日にベランダにて風乾させていましたが、小雨に降られ肉が濡れちゃった!!(ほぼ、乾燥出来てない!!)
2日目から庭のピザ窯の屋根の下に肉を吊るしました。
猫、カラスには要注意!!
朝、目が覚めると、庭からニワトリ達のおかしな鳴き声が!!
急いで風乾中のイノシシ肉を見に行くと、猫が2匹!!
一番美味しそうだったイノシシの首の肉(豚トロ部分?)がなくなっていました。
我が家は周りが山に囲まれた環境!!
ネコか、イタチに襲われて重傷だった子がなんとか回復してきた!
トサカは全部食べられちゃったけど
家の中で、抗生剤と水とエサ飲ませ続けて、やっとだいぶ元気になってきた! pic.twitter.com/5zsNPMJKxc— 豚ゴリラ (@tentimousouezu) 2018年11月3日
猫を始め、イタチ、ハクビシン、アライグマ、カラスなどの動物が出現します。
肉を干す場合は、動物達に対する対策を打たないと、生ハム食べれる頃には、肉がなくなっちゃうかも・・・
冬の寒空のした風乾2日(※実質1日)でしたが、肉表面はしっかりと水分が飛んで良い感じ!!
スモークウッドで冷燻!!
ピザ窯の屋根の下にそのへんにあった木でこんな感じの囲いを・・・
前からみたらこんな・・・
横からはこんな・・・
家にあった新聞紙で周りを囲んで、こんな感じ
全面を新聞紙で囲って燻製する際に、煙が効率的に肉に当たるようにします。
冷燻に使うのは
冷燻材料
- スモークウッド『さくら』(×10日分)
- ピートスモークパウダー
スモークウッドは燃焼時にも温度が高くなりにくいので、冬場の冷燻にぴったり!!
外気温が10℃を上回ることがない時期であれば、燻煙が当たる肉は30℃を超えることはありません。(※ウッドとの距離はある程度必要!!)
スモークウッドをガスバーナーで火を付けて、ウッドの上にピートスモークを乗せます。
ピートスモークは燻製の強い香りがしっかりと肉に付きます。
■冷燻:10日間
新聞紙で囲まれた上部からは漏れ出した煙がモクモク!!良い感じ!!
冷燻を始めて2日目には東京には雪が降り、気温も低い!!
燻製していたピザ窯を見に行くと・・・
雪には多くの足跡・・・新聞紙は猫達に破られ無残なことに・・・
猫対策として囲いをビニールシートへ!!
肉を吊り下げる部分にS字フックを縛り付け、夜間はベランダへ肉を移動できるようにしました。
冷燻については、途中経過として別記事にて記載!!
まとめ 〜完成は1年後?!イノシシ肉の生ハムは保存肉の希望!!〜
冷燻をした後に、肉の熟成までには1年位は必要のようです。
今回のイノシシ肉の生ハム自作は、まだ完成してはいません。今後、もしかすると肉が腐敗して廃棄することもあるかもしれません。
3ヶ月後、6ヶ月後とイノシシ肉の生ハムの経過を報告していきたいと思います。
多くの駆除されるイノシシを食べる為にも、長期保存が出来る保存食【生ハム】は希望の光!!
寒い時期だからこそ出来る保存方法ではありますが、生ハム作りは楽しい!!
今回のブログは『イノシシ肉の生ハム』の前半戦!!もしかしたら腐敗して、畑に埋めてなかったことになるかもしれませんが、今の所良い感じ!!
冬場にイノシシを捕獲したら、生ハム作りも良いかもしれませんよ!!