最近、巷でよく聞く『ジビエ料理』!!
ジビエ料理とはヨーロッパの貴族の伝統料理として古くから発展してきた食文化のことで、ジビエとは狩猟で得た天然の野生鳥獣の食肉を意味するフランス語。
我が家も山に囲まれた立地に住んでいることもあり、イノシシに畑を荒らされることがあります。
またイノシシが捕まった!
かなりデカイ! pic.twitter.com/4bnrdQRkLw— 豚ゴリラ (@tentimousouezu) 2018年11月7日
そんなこともあり、イノシシの肉を頂くことは多々あります。
僕自体は駆除した蜂の巣から『蜂の子』を取って食べたり、北欧では高級食材!!オシャレ家具屋IKEAでも夏の風物詩とされる『ザリガニ』を採ってきて食べたり、サバイバル食のイベント『ビストロ山』に参加しているので、ジビエに関して抵抗はまったくありません。
今回、知人から鹿肉を貰いました。が、鹿肉はあまり食べ慣れてないのでどうやって食べるのがベストか調べてみました。
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目次
【ジビエ料理】鹿肉料理を食べる!!
先日、知り合い(※知り合いの旦那さんが猟師)に鹿肉をもらいました。
猪(イノシシ)肉は食べる機会はよくありますが、鹿(しか)肉はめったに貰うことがなく、焼き肉で食べた記憶もかなり前のこと
猟師の人が鹿肉をどうやって食べているかと聞いたところ
『鹿肉は刺身で食べるのが一番美味しい!!』
とのこと・・・
ジビエ肉の注意点!!食中毒と寄生虫、E型肝炎について
ジビエ料理全般に言える注意点ですが、野生動物の肉を食べる上で注意すべきことがあります。
ジビエ料理の注意点
- 食中毒
- 寄生虫
- E型肝炎
もちろん市販の肉を食べる際にも同様の注意は必要ですが、管理されていない野生肉は特に注意が必要!!
食中毒
以前は牛の肝臓(レバー)を刺身で食べる『レバ刺し』は居酒屋で気軽に食べることができる料理のひとつでした。
しかし、現在『レバ刺し』を食べることができる料理屋はかなり限られている状況になっているのは周知の事実!
2011年に富山県の焼き肉店で起きた死者5人をだした食中毒事件が発端となり、2012年の7月から食品衛生法にて牛レバーの生食を禁止されるようになりました。
この時に問題となったのは『O-157(腸管出血性大腸菌)』という菌が増殖したことによる食中毒でしたが、精肉の場面の衛生管理(※内蔵調理と同じ包丁を使うなど)なども菌を付着・増殖させないためには重要になってくるようです。
ジビエ肉において、解体時に内蔵を傷つけてしまう場面もあるだろうことは想像できますし、精肉する場所が野外である場合が多い(※僕がイノシシ解体に立ち会ったのは野外でした)ので通常の豚肉・牛肉などに比べて衛生管理がされているとは言えません。
寄生虫
自然界で育つ野生動物には寄生虫も多く寄生している可能性が高いと思われます。
食肉用に育った肉においても寄生虫がいる場合もあるので、ジビエ肉だけ寄生虫に注意すれば良いわけではありません。
E型肝炎
最近、ジビエ料理について色々と調べると出くわすのが『E型肝炎』という言葉!
『B型肝炎』や『C型肝炎』は耳にすることがありますが、『E型肝炎』は慢性化しない急性の肝炎のこと
我が国では2003年4月の兵庫県における野生シカ肉の生食を原因とするE型肝炎ウイルス食中毒事例が、特定の食品の摂食とE型急性肝炎発症との間の直接的な因果関係を確認した最初の事例となりました。また、英科学誌「Journal of General Virology」2003年9月号掲載の報告では、北海道で市販されていた生豚レバーの一部からE型肝炎ウイルスの遺伝子が検出され、加熱不十分な豚レバーから人への感染の可能性も示唆されています。さらに、2005年3月に福岡県で野生イノシシ肉を喫食した11名中1名が、E型肝炎を発症し、ウイルス遺伝子検査でイノシシ肉との因果関係が確認された事例も報告されています。
肝炎は『ウイルス』により引き起こされる病気で、ジビエ料理などで感染する可能性のある『E型肝炎』においても劇症化(げきしょうか)することがあり、命に関わる状況に陥ることもあります。
ジビエ料理の注意点への対策は?
ズバリ!!ジビエ料理の注意点(食中毒・寄生虫・E型肝炎)に関する対策はしっかりと肉を熱すること!!
具体的には
- 75℃で1分以上加熱すればO-157などの菌は死滅し、寄生虫も死に絶える。
- E型肝炎ウイルスは63度以上の温度で30分以上加熱すれば死滅する。
と言うこと、今回の低温調理では、63℃、30分以上であればO-157や寄生虫など食中毒の原因は取り除けると判断し調理しました。(・・・が、若齢者、高齢者のほか抵抗力の弱い者は厚生労働省が推奨の『75℃で1分以上』に従ってください)
日頃から、寄生虫などが心配な『豚肉』を焼き肉などで食べる時には、牛肉を食べる時以上に火をしっかり通して食べることを心がけています。
同じようにジビエ肉でも『イノシシ肉』はしっかりと火を入れて食べると思います。
が、鹿肉に関しては猟師の人いわく・・・
『鹿肉は刺身で食べるのが一番美味しい!!』
とのこと・・・
長野に田舎を持つ友達に聞いても、やはり日常的に鹿肉は刺身で食べているという答えが帰ってきます。
鹿肉は栄養満点!でも火を通しすぎると・・・
『鹿肉は刺身で食べるのが一番美味しい!!』
と言われる鹿肉は全体的に赤身で脂肪が非常に少ないお肉!!
また鹿の脂肪は必須脂肪酸のリノール酸をはじめとする多価不飽和脂肪酸含量が多く、鉄分も多く含むという良質な肉!!
その半面、脂肪分が少ないので火を入れ過ぎることで肉質が固くなり美味しくなくなってしまいます・・・
鹿肉を美味しく安全に食べるためには『低温調理』がベスト!!
『刺身で食べるのが美味しい』と言われる要因のひとつが、焼き肉などで火を通しすぎることで肉が固くなってしまい美味しく感じなくなることが考えられます。
またイノシシ肉に比べるとE型肝炎ウイルスに感染する確率が低いことなどが、『鹿肉を刺身で食べる』という習慣に至っていると思われます。
しかし、鹿肉でもE型肝炎のリスクがあるのは間違いありません。
炊飯器で簡単!低温調理!!
高温で熱を通しすぎると固くなりがちな赤身で脂肪の少ない鹿肉を安全に美味しく食べるには『低温調理』がベスト!!
低温調理とは
「低温調理」とは、主に肉を加熱する際、温度を低温に保ったまま時間をかけて行う方法のことで、肉を柔らかく水分を逃がさないまま調理することができると注目されている。
低温調理というと高価な低温調理器などを使用しる必要があるようなイメージ!!
最近では少しリーズナブルな価格の低温調理器も発売されて手軽になってきたとはいえ、日頃から低温調理をするユーザーでなければ手が出るアイテムではないかも・・・
今回、僕が低温調理に使ったアイテムは
低温調理のアイテム
- 炊飯器
- 温度計
- ジップロック
上記アイテム以外には塩・胡椒などの調味料だけで簡単に低温調理が出来ました。
低温調理の手順
今回の炊飯器での鹿肉の低温調理の手順は
- 冷凍肉の解凍
- 塩水で洗う
- ジップロックに投入、塩コショウで下味
- 炊飯器で湯煎(63℃をなるべくキープ4時間)
- 表面を焼いて完成!!
冷凍肉の解凍
ジビエ肉を調理する時に多くの人は冷凍された肉を貰う(もしくは買う)と思います。
解体・精肉の場に立ち会える場合は生肉で貰うことがあるかもしれませんが、ジビエ肉は一度冷凍した方が食中毒・寄生虫のリスクは減少します。寄生虫の多くは冷凍することで死滅する場合が多く、O-157などの食中毒の原因となる菌も増殖しません。
しかし、一度冷凍した肉は上手に解凍しないと細胞膜が崩れることで旨味が溶け出すことで不味くなることもあります。
冷凍肉を解凍するためにレンジでチンしたり、室温で溶かしたり、水に浸けるなど急激に解凍するのはおすすめしません。
解凍の方法は氷水でゆっくり解凍する方法などがありますが、僕は冷蔵庫でゆっくり解凍させました。
塩水で洗う
頂き物の鹿肉は現場で綺麗に切り分けて袋に小分けして頂きましたが、解凍した後には塩水で肉を洗います。
マグロを解凍する際にも海水(3%)より若干濃いめの塩水でマグロの汚れなどを洗うそうで、同じような容量で鹿肉を洗いました。
解体時に付いたと思われる鹿の毛なども綺麗に取り除くことが出来ます。
ジップロックに投入、塩コショウで下味
塩水で洗った後に肉をキッチンペーパーなどで水分を拭き取った後、塩コショウを肉に刷り込みます。
肉に対して1%程度の塩と胡椒を刷り込みました。ジップロックに投入して空気を抜くようにして袋を閉じますが、赤ワインやおろしにんにくを投入するならこのときに投入してモミモミすれば良いかも。
炊飯器で湯煎(63℃をなるべくキープ4時間)
炊飯器の保温機能を利用して低温調理をします。
はじめに炊飯器の中に63℃のお湯をコンロのお湯と水を混ぜながら低温調理するお肉が十分浸かる水位のお湯を準備!!
そこへお肉を投入すると若干温度が下がりますが、60℃以上を目安にキープするように温度調整しました。
炊飯器の蓋を閉じると少しずつ温度が上昇したので、途中で電源をoffにしながら温度があがり過ぎないように注意!!
30分に一度程度様子を見ながら大体4時間程度低温調理してみました。(途中昼寝してしまい若干温度が上がってしまった場面も・・・)
上記しましたが、E型肝炎ウイルスなどは63℃で30分以上加熱することで死滅するので、4時間も調理すれば十分だと判断!
炊飯器から出すと染み出した肉汁と熱が入り色が変わった美味しそうな肉片が・・・・
因みに肉汁は近くにあった梅酒と醤油をフライパンで煮詰めてソースにしました。(ちょっと酸っぱかった)
表面を焼いて完成!!
炊飯器で湯煎することで、じっくり低温調理されたお肉の表面を焼き目を付けるように焼いていきます。
低温調理で肉にしっかりと熱は通っているのでそのまま食べても問題ないですが、表面を焼くことで香ばしくなり美味しくなります。
すばやく表面を焼くために、しっかりとフライパンを温めて短い時間で仕上げます。
まとめ 〜鹿肉は低温調理がベスト!!安心に美味しく食べられる!!〜
炊飯器でじっくり低温調理した鹿肉は全然固くない!!
鹿肉の味は、正直牛肉で作ったローストビーフと変わらない印象でした。
逆にジビエ料理の獣臭さなどはまったくなく、普通に美味しいローストビーフのよう・・・(良いのか悪いのか分かんないけど)
子供達も声を揃えて
『このローストビーフ旨いじゃん!!』
と大喜びで食べていました・・・それ牛肉じゃないよ・・・鹿肉だから・・・・
キチンと低温調理をすればジビエ料理の注意点である
- 食中毒
- 寄生虫
- E型肝炎
などを回避することが出来ます。
赤身で脂肪分の少ない鹿肉も火を通しすぎることもなく柔らかく美味しく味わうことが出来ます。
ジビエ肉を貰うことがあったら炊飯器で低温調理してみてはどうでしょう?
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